私たちが普段何気なく楽しんでいる「焼肉」。網の上で肉が焼ける音、香ばしい匂い、そして口いっぱいに広がる旨み…。至福の時間ですよね。
しかし、ふと疑問に思ったことはありませんか? 「そもそも、肉を焼いて食べる文化はどこから来たのだろう?」と。
実は、現在の日本の焼肉スタイルが確立されるまでには、世界各地の肉料理の歴史が深く関わっています。今回は、韓国、アメリカ、ヨーロッパという3つの地域の肉料理の歴史を紐解きながら、それらがどのようにして日本の「焼肉」、そして「結」のこだわりへと繋がっているのかをご紹介します。

1. 韓国:焼肉の「直火」のルーツ
日本の焼肉の最も直接的なルーツと言えば、やはりお隣の国、韓国です。 韓国の肉料理の歴史は非常に古く、その起源は「貊炙(メッチョ)」という料理にまで遡ると言われています。
- 貊炙(メッチョ)とは? 3世紀頃、高句麗(現在の中国東北部から朝鮮半島北部)に住んでいた遊牧民族が食べていた料理です。あらかじめ調味した肉を串に刺し、直火で焼いて食べていました。これが現在の「プルコギ」や「カルビ」の原型とされています。
- 「漬け込み」の文化 当時の食肉保存技術や肉質の問題から、肉を柔らかくし、臭みを消すために、ニンニクや醤油ベースのタレに「漬け込む」ことが重要でした。これが韓国式焼肉の基本であり、現在の日本の焼肉店における「もみダレ」の起源とも言えます。
日本の焼肉はここから独自の進化を遂げます。明治以降、日本で肉食が解禁され、食肉の品質が向上するにつれ、「漬け込む」必要性が薄れていきました。その結果、「焼いた後にタレをつける=つけダレ」という、肉本来の味を重視する日本独自のスタイルが生まれたのです。
2. ヨーロッパ:ソースと熟成の文化
次に視点をヨーロッパ、特にイギリスとフランスに向けてみましょう。ここでは「ロースト」と「ソース」の文化が発展しました。
- イギリスのローストビーフ イギリスでは「サンデーロースト」という、日曜日に大きな塊肉をオーブンでじっくり焼き、家族で切り分けて食べる文化が根付いています。これは、肉の水分を逃さず、ジューシーな「肉そのものの味」を楽しむ調理法です。
- フランスのソース文化 中世ヨーロッパでは、肉の保存のためにスパイスが多用されましたが、時代が進むにつれ、それが洗練された「ソース文化」へと進化しました。肉汁や出汁を使ったソースは、肉の旨みを最大限に引き立てるための知恵の結晶です。
「結」でご提供している「熟成肉」や、部位ごとに変えるこだわりのタレ(黄身醤油やネギソースなど)は、このヨーロッパ的な「素材のポテンシャルを引き出し、ソースで完成させる」という思想に通じるものがあります。
3. アメリカ:ステーキとBBQのダイナミズム
最後に、広大な土地を持つアメリカです。ここでは「BBQ(バーベキュー)」と「ステーキ」という二つの大きな柱があります。
- アメリカンBBQ 日本のBBQ(野外焼肉)とは異なり、本来のアメリカンBBQは、低温で長時間かけて巨大な塊肉をスモーク(燻製)する料理です。硬い肉をいかに柔らかく美味しく食べるか、という開拓者精神が生んだ知恵です。
- Tボーンとサーロイン アメリカは、部位ごとの特徴を活かしたステーキ文化の中心地でもあります。特にサーロインやフィレ(テンダーロイン)といった部位を厚切りで豪快に焼くスタイルは「肉そのものの味」を楽しむ究極の形と言えるでしょう。
「結」のメニューにある「熟成山形牛シャトーブリアン」や「厚切りカイノミ」などは、このアメリカ的な厚切りの満足感を持ちつつ、繊細な日本の和牛の脂(サシ)の甘みを融合させた、まさに「いいとこ取り」の一皿です。

世界の歴史を凝縮した「結」の焼肉
こうして見ると、私たちが提供している「焼肉」は、単に肉を焼くだけの料理ではないことが分かります。
- 韓国の「直火焼き」の楽しさとライブ感
- ヨーロッパの「熟成」と「ソース」による味の探求
- アメリカの「部位(カット)」へのこだわりと厚切りの満足感
これら世界の肉料理のエッセンスを吸収し、世界最高峰の品質を誇る「和牛」という素材で表現したのが、現代の日本の焼肉であり、「大和焼肉 結」が目指す姿です。
当店では、「肉ソムリエ」が厳選した山形牛を使用し、部位ごとに最適な「切り方」「焼き方」「タレ」をご提案しています。例えば、韓国由来の「ハラミ」や「タン」は伝統を尊重しつつ独自のカットで、ヨーロッパのステーキを思わせる「ヒレ」や「ロース」は、熟成によって旨みを凝縮させます。
歴史というスパイスを少し加えて味わうと、いつもの焼肉がより一層奥深いものに感じられるかもしれません。
今夜はぜひ「結」で、極上の焼肉をお楽しみください。皆様のご来店を心よりお待ちしております。